2007年05月28日(月)
同窓生にゆかりのあるお店を訪ねてご紹介する本企画。第2回目は 1986 年 3 月経済学部卒業の小西敏夫さん(43)が 4 代目専務取締役を務めます老舗信楽焼製造窯元「株式会社丸克製陶所」です。ページの下のほうに PR 映像もご用意していますので、よろしければご覧ください。
日本の首都といえば東京、古都といえば京都、それでは陶芸の都「陶都(とうと)は?」と聞かれるとみなさんはどんな場所を思い浮かべられるでしょうか。日本には佐賀県の伊万里焼・有田焼、岡山県の備前焼など数多くの有名産地がありますが、関西地方にお住まいの方は特に、滋賀県の「信楽焼」が一番に思い浮かぶのではないでしょうか? そうです、あの狸(たぬき)の置物や火鉢、食器などで有名な信楽焼です。
信楽焼の産地、滋賀県甲賀市信楽町は四方を山々に囲まれ、農村の原風景が今も残る情緒豊かな街です。信楽に一歩足を踏み入れると、そこにはいたるところに大小さまざまな狸の置物が立ち並び、まるで招き猫かのようにつぶらな瞳で観光客を迎え入れてくれます。その狸の数は一説によると信楽町に住む住民 12,000 人を裕に越すとも言われており、文字通り焼物・陶芸の街というわけです。
信楽焼は日本六古窯にも数えられ、平安時代後期から連綿とその伝統技法が受け継がれる全国でも有数の窯元。中でも本稿主役の小西さんが専務取締役を務める丸克製陶所は創業 100 余年の歴史を持ち、伝統技術と最先端技術の融合を図る信楽でも有数の窯元です。
創業の明治 33 年に仏具の生産から始まり、小西さんが 4 代目を務める現在もその神聖な窯の火を守りながら商売の信念「世のため、人のためになる焼き物を作る」、近江商人の持つ「三方良し(売り手・買い手・世間のすべてに良い、との意)」の教えを忠実に守っています。さらに窯元の歴史を守りながら産地顕彰と伝統継承のために歴史資料館「信楽古陶館」を建設し鎌倉・室町時代の壷から昭和初期のものまで信楽焼を収集、展示する地域を大切にする製陶所として知られています。
製陶所内には「信楽古陶館」のほかにも販売の「信楽焼陶芸・丸克センター」や陶芸体験のできる「陶芸教室」なども併設され、信楽焼の魅力を一挙に楽しむことのできる総合施設となっています。
現在は、全国のみなさんに信楽焼の素晴らしさを届けたいと店舗販売のほかにインターネットでのオンラインショップも行われています。慌しく流れる社会にのまれゆったりと過ごすことを忘れてしまった現代人の我々ですが、私たちの同窓生が心を込めて作る暖かな焼物を使い、延年と続く伝統から「わび」「さび」の精神を感じ取れるゆとりを持ちたいものですね。
本稿の取材に快く応じていただいた小西敏夫さんは「1951年(S26年)11月、昭和天皇陛下の行幸の際に沿道に日の丸を持った陶器の狸が出迎えたことを喜んで『幼きとき 集めしからに なつかしも 信楽やきの狸をみれば』とお詠みになったことが信楽と言えば狸のイメージが全国区で多くの人に広まったんです」と狸が一躍人気者になったエピソードを教えていただきました。本当にありがとうございました。来年には新名神高速道路が開通します。信楽への道も一層便利なものになりますので愛嬌のある狸に会いにぜひ気軽に立ち寄ってみてください。
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